ビューティサイエンティストに聞く
コロナ禍のいま取り入れるべき、美肌の観点からみた腸活とは?

美容法の一環として“腸活”を日常生活に取リ入れている方々が増えていることはご存知かと思います。近年では、腸内細胞を含めたすべての細胞で作られる『ポリアミン』という物質が話題となり、その美容効果に期待が集まっています。『ポリアミン』は、細胞の増殖に深く関係しており、年を取るにつれて自分の細胞で生み出す能力が低下することから、アンチエイジングに有効であると言われています。
また、腸内環境の向上は敏感肌の改善にも深く関わるということが徐々に明らかになっています。2014年8月、ビフィズス菌LKM512により、成人型アトピー性皮膚炎の症状(特にかゆみ)およびQOL(クオリティオブライフ、生活の質)を改善することが確認されたことを受け、2015年にビューティサイエンティストの岡部美代治さんの仮説に基づいて敏感肌もしくは敏感肌の傾向がある20代~50代の女性を対象にビフィズス菌LKM512の摂取試験を行ったところ、肌の敏感度が低減する傾向が認められました。

美肌と腸の関係

美肌のためには、皮膚の常在菌·口腔内の常在菌・そして腸内の常在菌すべてで病原菌を増やさないバランスを保つことが大切です。例えば、顔の常在菌である表皮ブドウ球菌を主とする「美肌菌」は、角質の隙間などで肌荒れを引き起こす黄色ブドウ球菌を退治するためのペプチドを出し、肌を守る働きをします。美肌菌が増えることでバリア機能が強化されるわけです。


更に、ビフィズス菌LKM512の摂取試験を行った研究当時、腸内細菌については免疫システムを正常化する役割を持っている可能性が高いため、敏感肌の改善に繋がると仮説を立てました。特に大腸は有害物質の体内への侵入を防ぎ、排出する仕事をしてくれる臓器でもありますので、腸内環境が整うことで免疫システムも良い状態を維持するという理論は繋がるはずなのです。実際に、ビフィズス菌LKM512の摂取試験の結果を見ても敏感度の低減が見られたので、仮説は正しいことが分かりました。もちろん腸内環境が整うことで栄養吸収を助ければ、当然健康や美肌に直結してくることも容易に想定できますよね。


内側を強化することで外側も強化される。
腸内環境を整えることは、様々な側面から体と肌を整えることに繋がるのです。

ストレスと腸の繋がり

コロナ禍において考えるべきは自然免疫を高めることです。私達の持っている免疫はもともと2つあって、1つは病原体を認識し、排除してくれる『自然免疫』。もう1つは一度侵入した病原体が、再度侵入した時に抗体を作り攻撃力を強める『獲得免疫』で、これを人工的に行うのがワクチンです。

コロナウイルスは主に粘膜から入ってくることからも、腸内環境を整え、粘膜系の免疫システムを正常化させることは重要だと思います。自然免疫が強いと病原菌に対する抵抗力が増しますので特に意識することが必要でしょう。


コロナ禍ではどうしても目先の情報を考えずに鵜のみにしてしまったり、納得していないのに動かざるを得ないこともありますが、『不快』や『不安』という精神活動は免疫システムに対して負荷を与えます。納得することは、安心という精神活動に直結しますので、脳の知性をもって行動することも結局のところ健康に繋がる要素なのです。本当の快適や心地よさとは何か、今一度自分を見つめ直すことも自然免疫を高めるためには重要な点だと思います。

美容快適生活習慣、実践ポイント!

実のところ、本当の快適というのは根本的な基本の生活に帰依します。ここでは、実際に取り入れるべき生活習慣をご紹介します。

まずは、『自分自身がハッピーに感じるバランスがとれた食事』です。一番のポイントは“習慣化”なので、美味しいな楽しいな、と思いながらストレスなく続けられることが重要です。健康食品やサプリなどについても当然そう言うことができます。美味しいヨーグルトや、発酵食品である納豆を食べることはその味が好きであれば続けやすいですよね。例えば、甘みが好きな人であればヨーグルトにはちみつやドライフルーツをトッピングしてみても良いですよね。自分の好みのものを見つけるプロセスを楽しみましょう。腸活という観点で考えれば、繊維質も非常に重要です。野菜の食物繊維はもちろんですが、鶏皮などの動物性の食物繊雑もおすすめです。

次に、『適度な運動』です。全身を動かすことができることと、脳をリラックスさせることを意識しましょう。身体が最も幸せだろうと自分自身で納得して取り組めることが大切です。


最後に、『外側からのお手入れ』です。マスク生活で肌が荒れたり、不快感を感じるということは免疫システムが過剰に動いていると考えられます。改善テクニックとして重要なのは、第一に保湿です。マスクの着脱を繰り返すことで乾燥が気になるという人は、いつも以上にしっかりとお肌を保混してあげるようにしましょう。また、ご自身で肌当たリが良いと感じられる快適なマスクを選ぶことも大切です。

日々の食生活にとって、ハッピーに継続することがポイントとお話ししましたが、外側からのお肌のケアも、何より習慣化が大切です。くすみ・シミ・シワ等のエイジングにとって一番良くないのは、日々のマイナーなトラブルの積み重ねと言えます。明日からのエイジングを加速しないためにも毎日の丁寧なお手入れをコツコツ積み重ねるように心がけましょう。

色々とお話ししましたが、バランスの良い食習慣と丁寧な保湿の習慣化は全ての根幹です。内と外を組み合わせた一挙両得の美容法を心がけることで、真なる美しさを手に入れたいですね。

監修-ビューティサイエンティスト岡部美代治

山口大学文理学部理学科生物学卒業後、(株)コーセーの研究所を経て(株)アルビオンにて商品開発、マーケティング等を担当。数多くのヒット商品を手がける。08 年 4 月独立し、現在は美容コンサルタントとして活動。商品開発アドバイス、美容教育アドバイスなどを行う他、講演・セミナーの依頼や雑誌取材なども多い。化粧品の基礎から製品化までを研究してきた経験をもとに、スキンケアを中心とした美容全般を解りやすく解説し、正しい美容情報を発信している。


   
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