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閉じる加齢と共に少しずつ硬くなっていく血管。しかし、ちょっとした習慣を取り入れることで、しなやかな血管を維持することができます。簡単にできることばかりなので、毎日続けて一生元気な体を目指しましょう。
寝起きの「グーパー体操」で血管を目覚めさせる
朝、目覚めたばかりのときは、血管も寝ぼけている状態です。急に激しく動きだすと、変化に血管の状態がついていけず、トラブルにつながることに。健康な血管を維持するには、寝ぼけている血管を徐々に目覚めさせることが大切です。
実は、心臓病や脳卒中は、起床時の発作がいちばん多いとされています。
そこで行ってほしいのが、布団の中で手足を動かす「グーパー体操」です。まずは末端の血行を良くしてから、徐々に体幹も動かして、交感神経のバランスを活動モードに整えていきましょう。
【グーパー体操の方法】
①目覚めたら、布団の中で手足の指をにぎったり、広げたり、グーパーの動きをくり返す。

②次に、足首を曲げ伸ばす。

③次に、太ももを胸に近づけるように上げる。

体操で血管が目覚めたところで、布団から起き上がります。
すぐにカーテンを開けて、太陽の光を浴びましょう。自律神経を太陽のリズムに合わせることで、血管ストレスの軽減につながります。
また、寝ている間に体から汗となって水分が失われ、血液が濃くなっているので、コップ1杯の水や白湯を飲んでください。
大事な用事の前に血管をリラックス

「今日は大事な会議がある」といったときは、血管に大きなストレスがかかっています。緊張していると、血管が収縮して血圧が上がり、血管が硬くなってしまうのです。
こうしたときは「瞑想」のような状態で、血管ストレスを取り除きましょう。1分間、目をつぶって、何も考えず呼吸だけに集中します。何も考えないというのは意外に難しいものですが、頭に何か浮かんでも、それを考え続けず、流していくイメージでOKです。
これだけで血管ストレスが大幅に減り、しなやか血管を維持してくれるので、ぜひ大事な用事の前に試してみてください。
5分間の昼寝で血管ストレスを軽減

手軽に血管をメンテナンスできる習慣が「昼寝」です。
朝から懸命に働き続けた体は、緊張モードの「交感神経」が優位の状態が続いています。昼寝をすると、酷使した交感神経を休ませ、血管にたまったストレスを取り除いてくれるのです。
時間は5分でOK。この短時間で、次のような効果が期待できます。
【昼寝の効果】
●体内にたまった疲労物質や老廃物を減らして、疲れを回復させる
●脳をリセットし、午後からの集中力や記憶力を高める
●リラックスすることで血管が拡張し、血管ストレスを軽減する
忙しくても、強制的にストレスをリセットする時間をつくるのが、血管病の予防につながります。
なお、昼寝の時間は20分くらいまでに。長く寝ると、脳が熟睡状態になり、起きた後ボーッとしたり、夜の睡眠に支障をきたすことになります。
昼寝の前に「5分後に起きる!」など、自己暗示をかけると、スッキリ目覚められます。また、横にならず、座ったまま寝ることで熟睡を避けましょう。
眠くならないときは、目をつぶって休むだけでも、血管ストレスの軽減に効果があります。
午後の「ふくらはぎトレーニング」で血管強化
ポイントは、ふくらはぎを動かすこと。ふくらはぎは「第二の心臓」とも言われています。それは、ふくらはぎの筋肉がポンプ役となり、下半身の血流を心臓に戻してくれるからです。
ふくらはぎに刺激を与える血管トレーニングは、ぜひ欠かさず続けてください。
【ふくらはぎ血管トレーニングの方法】

①肩幅に足を広げて立つ
②ゆっくりと、かかとを1秒かけて上げ下げする。下げるときは、かかとを地面に着けず、浮いた状態から再び上げるのがポイント。これを30回行う。
グラグラしてしまう人は、壁に手を着いてもOKです。また、立ったまま行うのが難しければ、イスに座ってかかとを上下させてください。
毎日決まった時間で行ったり、1日の予定の中に組み込むと続けやすくなります。
しなやか血管の維持に役立つ成分も
血管の健康に関する研究は各方面で進んでいますが、そのひとつとして、しなやか血管の維持に役立つと報告されているのが「ポリアミン」です。
ポリアミンは大豆やきのこなどに多く含まれますが、ビフィズス菌LKM512とアルギニンを含むヨーグルトで、腸内のポリアミン濃度が上がるという研究結果が報告されています*。
血管の健康と長寿の関係が注目される中、おやつなどで手軽に取り入れられるしなやか血管対策も増えてきているようです。
いずれにしても「しなやか血管は1日してならず!」。ちょこっと習慣を毎日取り入れて、一生元気でいられる体を作っていきましょう。
*Kibe et al. Sci Rep 4: 4548, 2014 ; Kitada et al. Sci Adv 4:eaat0062, 2018