群馬県吾妻郡 関牧場 
農協牛乳の生乳を生産

親から子へ
そして、地元の子供たちへ

農協牛乳のふるさと・吾妻で、親子三代に渡って自然の恵みを活かした自家育成・給餌自家栽培の酪農を営み、地元の子供たちにも酪農の魅力と命の大切さを元気いっぱいに伝える関牧場を訪れました。

群馬県吾妻郡は、標高850mの高原に位置する。一年を通じて気候は涼しく、肥沃な台地には牧草が生い茂り、自然の湧き水が土地を潤す。健康な乳牛を育てるには絶好の大地で、関牧場は酪農を営む。

関紀道さんが家業を受け継いだ時には、経産牛が13頭。北軽井沢の酪農家からとく江さんを妻に迎え、子牛を大切に育成し、牛舎を近代化し、経産牛45頭・育成牛含めて全頭80頭規模まで関牧場を育て上げた。 それでも、「酪農は、小規模経営のほうがいいんじゃないかな」と、紀道さんは語る。
「手間ひまかけて育てなければ、良い乳牛が育ちません。そうなると、自分の目が届く適正な規模でやらないと、どこかで破綻してしまうからね」

頑固なまでに一頭一頭の乳牛と向き合う関牧場―その経営を父から受け継いだ娘・千鶴さんの想いとともに、関牧場の一日を辿る。

家族 牛も人も、毎日を
無理なく元気に過ごす。

家族経営の酪農家は、一家総出で働く。関牧場では、親子3人と従業員の1人で全頭80頭の世話をする。早朝から紀道さんは自給飼料の牧草やトウモロコシなどの農作業を行い、千鶴さんと従業員は乳牛の管理に専念する。その姿を、乳牛の生活リズムと家族の健康を守る家事とを両立させるとく江さんが見守る。

あまり無理をせず、人も牛も元気に過ごせるようにというのが関牧場のモットーなんですよ。 それでも父は自給飼料にこだわっていて、牛のために良質な飼料を得る必要があるから、牛を飼うならその頭数に応じた畑を持っていなければならないし、自分のところで出した糞や尿、堆肥も自分のところで管理できるようにしたいということで、日々努力をしております。

千鶴さんが一番こだわりを持つのが、牛舎や搾乳器具の清掃。人間もお皿が綺麗じゃなければご飯をおいしく食べれないように、牛も臭いや汚れがついていると食欲が湧かないだろうと、毎朝、従業員と二人で丁寧に時間をかけて清掃を行う。

搾乳は、母の代から必ず時間通りにリズムよくやるようにということを指導されておりまして、搾乳時間はできるだけ変えず、餌を与える時間もできるだけ一定になるように、牛に合わせた生活を私たちもしております。

愛情 どの牧場よりも、
幸せな牛を育てる。

まるで家族のように一頭一頭の乳牛に寄り添う。「吾妻のうまい水・おいしいエサをたっぷり食わしてやる」という紀道さんの想い、「牛も1日を気持ちよく過ごしたいよね」というとく江さんの愛情が、千鶴さんにしっかりと受け継がれている。

うちは全頭自家育成ということで、生まれてからずっとこの牧場で育てています。やはり健康な牛を育てるには子牛の時期が非常に重要でして、子牛の時期にどんな管理をしたかでその牛の一生が決まると思っています。

だったら、この子たちが関牧場で生まれた以上、どこの牧場よりも幸せに過ごせているって思ってもらいたいじゃないですか。だから、いつも話しかけたり、撫でてあげたりするのですが、すごく良い表情をしてくれるので、それがとても嬉しいです。

信頼 吾妻酪農家の想いが
味に現れている。

『酪農家のつぶやき』POP第二弾・春編より

群馬県吾妻地域で集乳される質の良い生乳は、関東圏で販売されている農協牛乳に使用されている。開発にあたり、「香り」「コク」「味わい」を心地よく際立たせることができ、主産地に選ばれた。その話を酪農組合の説明会で聞かされて、千鶴さんは喜びに顔を輝かせる。

製造されている方からお話を聞いた時、吾妻の酪農家の努力が報われた気がしました。
みんな牛が大好きで、本当に牛を大切に扱っていて、そういうみんなの気持ちが味にちゃんと現れてくるんだなということが確かめられて、本当に誇りに思います。ありがとうございます!

協同乳業とJA全農が連携して展開する「酪農の輪プロジェクト」の一環で作成された店頭POPの一つに、千鶴さんからのメッセージが掲げられている。

継承 地元の子どもたちに
命の大切さを伝えたい。

祖父が根を下ろした自然の恵み豊かな吾妻の大地で、一頭一頭の乳牛に寄り添う父と母の教えを受け継ぎ、元気いっぱいに酪農を営む。千鶴さんは、現在、酪農後継者の仲間たちと共に「酪農教育ファーム」を立ち上げ、地域の子どもたちに酪農の仕事を伝える活動をしている。

山を耕して草を作り、牛を遊ばせる酪農をやっていますから、音もうるさいですし、臭いもします。地域の皆さんの協力があって酪農はできますので、そういう感謝を忘れずに私たちに何ができるのかなっていうのを考えた時、牧場には牛がたくさんいるので、子どもたちが動物と触れ合える機会を提供できるわけです。
酪農を通じて、地元の子どもたちに農業や食の大切さとか、命の大切さを伝えていくことができたら、本当に素敵だなと思っています。

親から子へ、そして地域の子どもたちへ。自然を愛し、生命を育むものたちの想いがひとつになって、つながっていく。

酪農家Profile  関牧場

所在地
群馬県吾妻郡
牧場の規模
経産牛 45頭/全頭 80頭
生乳が使用される
協同乳業の商品
農協牛乳
一言メッセージ
協牛乳と同じ歳月を、酪農家として頑張っています!